夜尿症(おねしょ)とは?

「夜尿症(おねしょ)」とは、夜に寝ている間に無意識におしっこを漏らしてしまうことを言います。
一般的に幼児期(乳児から幼稚園児の時期)に起きるものを「おねしょ」と言い、これは必ずしも病気とは限りません。
その一方で、小学校入学時期にあたる5~6歳以降に見られ、月に数回以上続く場合は「夜尿症」と呼ばれます。夜尿症は、5歳のお子さんの5人に1人(約20%)、小学校高学年(10歳)でも20人に1人の割合(約5%)で起こる症状です。

原因と症状

夜尿症(おねしょ)の多くは、下記のような要因がいくつも重なることで起こります。
・尿を溜める膀胱の大きさと夜間に作られる尿の容量のバランスがうまくとれていない
・睡眠中の膀胱の働きが未熟である(容量が小さい・勝手に収縮してしまう等)
・睡眠障害がある(夜間に目が覚めてしまう)
・心理的ストレスがある
・膀胱や腎臓に器質的な異常がある

受診の目安

夜尿症(おねしょ)の多くは成長とともに自然に治ることが多いです。また、身体に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられているため、放置されることが多い病気でもあります。

しかし、小学生になっても夜尿症が続く場合、お子さんが自信を喪失し、精神的育成やQOL(生活の質)、すなわち心理面・社会面で様々な悪影響を及ぼすことがあります。

例えば、幼稚園のお泊り保育や小学校の修学旅行(外泊)の際も「夜尿(おねしょ)をしてしまうのではないか…」という心配により、「行きたくない…」「友達に笑われる…」といった不安を感じてしまいます。このような不安がストレスとなり、それがさらに夜尿の消失時期を遅らせる要因になることもあります。
お子さんの健全な成長のためにも、なるべく早く治療をされるのがおすすめです。

治療方法

まずは小児科医の指導のもとで生活改善を行い、それでも治らない場合はお薬やその他の方法で治療を行っていきます。先ほどご説明したとおり夜尿症(おねしょ)は体に悪影響がない分、治療をすることなく様子を見るご家庭が多い病気です。
しかし、積極的に治療に取り組むことで、自然に治るのを待つより早く夜尿症の悩みや問題から解放されることができます。

薬物療法

治療には以下の薬剤を単独で使用する、もしくはいくつかの薬を組み合わせて使用することがあります。薬の使用する量や使用する期間は年齢や症状によって異なります。

□抗利尿ホルモン薬(内服薬、もしくは点鼻薬)
【効果】尿の濃度を濃くし、尿量を少なくする
□抗コリン薬(内服薬)
【効果】膀胱に尿を多く溜めれるように、膀胱機能を安定させる
□三環系抗うつ薬(内服薬)
【効果】抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用がある
もともとはうつ的な状態を明るくしてくれる薬剤でもある
□漢方薬

アラーム療法

パンツ自体に水分を感知するセンサーを取り付けます。センサーが夜尿の水分を感知することでアラームが鳴るようにしておくと、睡眠中の排尿を抑える訓練になります。それを繰り返すことで徐々に睡眠中の膀胱容量を大きくしていく治療法です。

心理カウンセリング

6ヶ月~1年ほど治まっていた夜尿の再発や、夜尿の原因がストレスである可能性が高い場合に実施します。

手術治療

泌尿器に何かしらの疾患がある場合は手術治療が必要になる場合があります。

家庭でお子さんと接する時に大切なこと

睡眠中にお子さんの意思とは関係なく生じるのが夜尿症(おねしょ)です。そのため「夜尿をしたお子さんを叱る」ことは夜尿症(おねしょ)の改善には繋がりません。
また、お子さんを無理矢理起こして排尿させる行為は、お子さんの睡眠リズムを崩す原因となるため避けた方が良いでしょう。

繰り返しますが、夜尿(おねしょ)をしたからといってお子さんを叱ったり、無理強いしたりするのは逆効果です。
夜尿(おねしょ)に対する不安を抱えているお子さんに「夜尿は必ず治る」と伝えて安心させてあげながら、夜尿がなかった日は褒めてあげるようにしましょう。そして、ご家族全員がサポートしていることを感じさせることで、「自分で治そう」というやる気を起こしてもらうことが大切です。

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